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商談の進め方

営業のクロージングとは?決め切れない5つの原因と、押さずに合意へ進める進め方|SaaS営業の具体例で解説

公開日: 執筆: 株式会社DeploAI

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「商談の手応えはよかったのに、最後の一押しで決まらない」「『検討します』と言われたまま、連絡が途絶える」——SaaS営業の現場で、担当者にもマネージャーにも多い悩みです。

結論から言うと、クロージングで決まるかどうかは、クロージングの場面より前に決まっています。 クロージングとは契約を迫る最後の一押しではなく、「課題」「価値」「決め方」「懸念」の4つについて顧客と認識がそろっているかを確かめ、そろっていれば次の一歩を決める活動です。4つがそろっていない商談では、どれだけ押しても決まりません。

この記事では、営業のクロージングの意味、クロージングの前にそろえる4つの合意、決め切れない5つの原因、合意を確認する3ステップ、稟議前のSaaS営業の会話例と数字入りの試算、場面別の切り返し、組織で型にして残す方法を解説します。クロージングの手前の聞き方は営業のヒアリング、商談の前の準備は商談準備のやり方、決めたあとの不安はバイヤーズリモースで扱っています。本記事は、その間にある「決める場面」に絞った解説です。

弊社(株式会社 DeploAI)は、営業の理想形を基準に商談を支援するプロアクティブ営業支援AIエージェント「IntelligentSales(インテリジェントセールス)」を開発しています。理想から逆算して「いま商談がどの段階にあり、次に何を確認すべきか」を考える発想は、バックキャストと同じです。

営業のクロージングとは?なぜ「押しても決まらない」のか

営業のクロージングとは、商談で積み上げた合意を顧客と確認し、契約に向けた次の一歩を決める活動です。 契約書にサインをもらう場面だけを指すのではなく、「このまま進めてよいか」を顧客と確かめ、進める場合の手順を決めるところまでを含みます。

「押しても決まらない」のは、押す力が足りないからではありません。顧客の側に決めるための材料や条件がそろっていないためです。押されると、顧客は決める代わりに「検討します」と答えて距離を取ります。

押すクロージング 合意を確認するクロージング
中心にあるもの 「契約してください」という依頼 「ここまでの認識は合っていますか」という確認
営業の動き 期限・特典・不安をあおって決断を迫る 課題・価値・決め方・懸念の合意を順に確かめる
顧客の反応 「検討します」で保留にしやすい 懸念を出しやすく、次の一歩が決まりやすい
決まらなかったとき 理由が分からない どの合意が欠けていたかが分かる
契約後 不安が残り、導入が進みにくい 納得して決めているため、オンボーディングに進みやすい

合意を確認する形にすると、決まらなかった場合でも「どの合意が欠けていたか」が見えます。これが、次の商談で何をすべきかを決める材料になります。

クロージングの前にそろえる4つの合意とは?

クロージングの前にそろえるのは、「課題」「価値」「決め方」「懸念」の4つについての、顧客との合意です。 4つのどれかが欠けたまま契約を求めると、欠けた部分が「検討します」の中身になります。

1課題の合意顧客が自分の言葉で、解くべき課題と影響を語っている
2価値の合意導入後に何が変わるかに、顧客が納得している
3決め方の合意誰が、いつ、どの手順で決めるかが共有されている
4懸念の解消価格・導入負荷・リスクなどの不安が出し切られている

クロージング前の4つの合意。クロージングは、この4つがそろっているかを確かめる場面と考える。

合意1:課題の合意——顧客の言葉で語られているか

課題の合意とは、解くべき課題とその影響を、顧客が自分の言葉で語っている状態です。 営業が課題を説明して顧客が頷いただけでは、顧客の中では課題になっていません。ヒアリングで課題と影響を聞き出す方法は営業のヒアリングで扱っています。

合意2:価値の合意——導入後の変化に納得しているか

価値の合意とは、導入したあとに何が変わるかについて、顧客が自分の状況に置き換えて納得している状態です。 機能の一覧ではなく、顧客が挙げた課題にひも付けて説明できているかが目安です。提案の価値の見せ方はバリューセリングが参考になります。

合意3:決め方の合意——誰が、いつ、どう決めるか

決め方の合意とは、決裁者・関係部門・稟議の手順・時期が、営業と顧客の間で共有されている状態です。 ここが曖昧だと、商談相手は前向きでも、決裁の場で止まります。決裁者や意思決定の整理にはMEDDICやBANTの考え方が使えます。社内で推進してくれる人の見つけ方はCHAMPも参考になります。

合意4:懸念の解消——不安が出し切られているか

懸念の解消とは、価格・導入の手間・セキュリティ・他社との比較といった顧客の不安が、口に出され、答えられている状態です。 懸念は、出されないまま残るのが最も危険です。「ほかに気になる点はありますか」と聞いて、出し切ってもらうことがクロージングの準備になります。

クロージングで決め切れない5つの原因は?

決め切れない原因の多くは、4つの合意のどれかが欠けたまま契約を求めていることです。 当てはまるものがないか確認してください。

原因 何が起きるか 欠けている合意 直し方
1. 課題が営業の言葉のまま 顧客が「便利そう」で止まり、緊急性がない 課題 課題と影響を顧客の言葉で言い直してもらう
2. 機能の説明で終わる 価格・機能の比較になり、他社と並ぶ 価値 顧客の課題にひも付けて導入後の変化を示す
3. 決裁者に会えていない 担当者は前向きなのに、稟議で止まる 決め方 決裁の手順と、決裁者への説明の機会を確認する
4. 懸念を聞き出していない 価格や導入負荷への不安が残り、「検討します」になる 懸念 「気になる点」を先に出し切ってもらう
5. 次の一歩を決めていない 商談の終わりが「また連絡します」になる 全体 誰が・何を・いつまでに、を商談の中で決める(ネクストアクション)

特にSaaS営業で多いのは、2と3です。製品に自信があるほど機能の説明に時間を使い、稟議で誰が何を問われるかの確認が後回しになります。担当者が納得していても、決裁者が納得していなければ、契約にはなりません。

合意を確認するクロージングの進め方は?3ステップ

クロージングは、「要約する」「合意を確かめる」「次の一歩を提案する」の3ステップで進めます。 順番に行うことで、押さずに、顧客自身が「進める」と言える形になります。

  1. 要約する:ここまでの課題・影響・導入後の変化を、顧客の言葉を使って短くまとめる
  2. 合意を確かめる:「ここまでの認識に、ずれはありませんか」と聞き、4つの合意のうち欠けているものを探す
  3. 次の一歩を提案する:合意がそろっていれば、手続きや社内説明など、次に誰が何をいつまでに行うかを具体的に提案する

各ステップの質問例を示します。

ステップ 質問・言い方の例 狙い
要約する 「最初に伺った◯◯の課題は、月に◯回、半日かかっているとのことでした。この理解で合っていますか」 課題の合意を確かめ、顧客の言葉で締める
合意を確かめる 「導入を前に進めるうえで、気になっている点はほかにありますか」 懸念を出し切る
合意を確かめる 「社内で決めるとしたら、どなたがどの順で確認されますか」 決め方の合意を確かめる
次の一歩を提案する 「それでは、稟議に必要な資料を私が◯日までにお送りします。部長への説明はいつ頃を想定されていますか」 誰が・何を・いつまでに、を決める

「ほかに気になる点はありますか」と聞いて「特にありません」と返ってきたときは、一次回答で終わらせず、「たとえば、価格や導入時の負担、他社との比較について、社内で話題になりそうな点はありますか」のように、場面を示して重ねて聞くと、懸念が出てくることがあります。

具体例:SaaS営業の稟議前クロージングは、どう進める?

SaaS営業の稟議前のクロージングでは、担当者が稟議書に書く内容を営業が一緒に整えることが、決め切るための中心になります。 説明用の仮の場面で示します(実在の企業や数値ではありません)。

背景は次のとおりです。営業の商談記録を管理するSaaSを、営業40名ほどの企業に提案しています。担当は営業企画の課長で、導入に前向きです。決裁は営業本部長で、稟議で承認を得る必要があります。提案の価格は、1席あたり月額3,000円(仮の値)で40席の想定です。

営業(要約):「最初に伺った、商談後の報告入力が営業1人あたり週に1時間ほどかかっている、という点が最も大きな課題だと理解しています。この理解で合っていますか」

顧客:「はい、合っています。報告の入力に時間を取られて、提案に使う時間が減っています」

営業(懸念):「導入を進めるうえで、ほかに気になる点はありますか」

顧客:「正直、稟議が心配です。本部長に『年間いくらで、何が返ってくるのか』を聞かれると思います」

営業(決め方):「本部長が稟議で確認されるのは、金額の妥当性が中心ですか。ほかに情報システム部門の確認などは必要でしょうか」

顧客:「情報システム部門のセキュリティ確認も必要です。金額は、効果との比較で見られると思います」

営業(次の一歩):「それでは、年間の費用と想定される効果を比べる資料を、私が今週中にお送りします。情報システム部門向けには、セキュリティの確認項目への回答をお送りします。本部長への説明は、いつ頃を想定されていますか」

顧客:「来週の定例で説明したいです」

この会話でそろった合意と、残っている論点を整理します。

合意 この商談での状態
課題 報告入力が週1時間かかる、と顧客の言葉で確認できた
価値 課題にひも付けて説明できている
決め方 本部長の稟議と、情報システム部門の確認が必要と判明
懸念 稟議での金額の妥当性、セキュリティ確認が出た

営業がここで用意するのは、顧客が稟議で本部長に説明できる費用と効果の比較です。説明用の仮の値で試算します(数値は例であり、実際は顧客の実態にもとづいて置き換えてください)。

  • 費用:月額3,000円 × 40席 × 12か月 = 年間144万円
  • 効果(報告入力の時間):40名 × 週1時間 × 年50週 = 年間2,000時間
  • 時間の金額換算:仮に1時間あたり4,000円とすると、2,000時間 × 4,000円 = 年間800万円相当

ただし、この効果は「報告入力がすべてなくなる」前提の上限であり、実際に削減される割合は運用次第です。そこで営業は、「削減できる割合が、たとえば半分でも約400万円相当で、費用の約2.8倍です。顧客の状況に合わせて、削減の割合の置き方を一緒に確認させてください」と、前提を顧客と確認しながら置く形で渡します。営業が一方的に効果を主張するのではなく、担当者が本部長に自分の言葉で説明できる材料にすることが目的です。

こうして、「検討します」で止まる代わりに、誰が・何を・いつまでに行うか(営業は資料を今週中に送る、担当者は来週の定例で説明する、情報システム部門の確認を進める)が商談の中で決まります。

場面別:クロージングで言われやすい言葉への返し方は?

クロージングで言われる言葉は、断りに見えて、実際は欠けている合意の合図です。 返す前に、どの合意が欠けているかを考えます。

顧客の言葉 欠けていそうな合意 返し方の例
「検討します」 懸念、または決め方 「社内で確認したいのは、どの点でしょうか」と中身を特定し、次の一歩の期日を決める
「もう少し安くなりませんか」 価値、または社内説明の材料 理由を確かめる(予算の上限か、価値の納得か)。応じる場合は契約期間や導入範囲と引き換えにする(BATNA)
「他社も見てから決めたい」 価値、または比較の基準 比較する基準(何を重視するか)を一緒に整理する。基準が顧客の課題にひも付くようにする
「上司に相談します」 決め方 上司が確認する点を聞き、説明の材料を渡す。可能なら説明の場に同席する提案をする
「今期は予算がなくて」 課題の緊急性、または決め方 課題が放置された場合の影響を再確認し、次の予算の時期と手順を聞く

値引きの場面では、最初に提示した金額がその後の基準になるため、提示のしかたも重要です(アンカリング)。また、選択肢を増やしすぎると決められなくなるため、提案は絞って示します(選択の逆説)。

クロージングの質を、組織の型にして残すには?AIで何を支援できる?

クロージングの質を担当者の力量に頼らず安定させるには、「4つの合意の状態を記録する」「止まった場所を振り返る」「うまくいった確認の仕方を共有する」の3つを仕組みにします。

  • 4つの合意の状態を記録する:商談メモに、課題・価値・決め方・懸念の欄を設け、「合意済み」「未確認」を残す。マネージャーが商談の到達点を見て、同行や支援の要否を判断できる
  • 止まった場所を振り返る:決まらなかった商談で、どの合意が欠けていたかを確認する(振り返りの型は成果につながる商談の振り返り)
  • うまくいった確認の仕方を共有する:受注した商談の要約や質問を、型として残す(営業の型(セールスプレイブック))

IntelligentSales(インテリジェントセールス)は、営業フレームワークから抽出・体系化した理想の営業を基準に、6つの専門AI(セールスフレーム分析〔SFRA〕・心理行動変容分析〔BCA〕・競合分析・折衝力学・顧客特性診断・評価アクション)が商談を支援します。クロージングに関係するのは、主に次の部分です。

場面 IntelligentSales の機能 できること
商談後 SFRA(セールスフレーム分析) 直近の商談の発話から、商談がどの段階で止まっているかを判定し、次に踏むべきステップと質問を提示する
商談後 BCA(心理行動変容分析) 商談記録から、顧客の関心が動いた箇所・離れた箇所を反応として可視化する
商談後 折衝力学 押す力・ためらい・摩擦の3軸で折衝を分析し、効いた働きかけを抽出する
商談前 競合分析・顧客特性診断 競合が出たときの対策や、相手に響く伝え方を準備する

なお、商談中の支援は、事前に用意した示唆質問や切り返し例といった「準備済みのガイド」を手元で参照する形です。その場で即時に検知して介在するリアルタイム支援は、将来構想です。

ただし、顧客が本当に納得したか、いまこの場で合意を確認してよいかを見極めるのは、営業担当者です。AIが整えるのは「どこで止まっているか」の材料であり、合意を確かめる対話そのものは人が担います。

まとめ

  • 営業のクロージングとは、商談で積み上げた合意を顧客と確認し、次の一歩を決める活動。契約を迫る最後の一押しではない
  • 決まるかどうかは、課題・価値・決め方・懸念の4つの合意がそろっているかでほぼ決まる。押しても決まらないのは、どれかが欠けているから
  • 決め切れない原因の多くは、機能説明で終わる、決裁者・決め方を確認していない、懸念を出し切っていない、次の一歩を決めていないこと
  • 進め方は要約→合意の確認→次の一歩の提案。「検討します」は、中身を特定して期日を決める
  • SaaS営業の稟議前は、担当者が稟議書で説明できる費用と効果の比較を一緒に整える。前提は顧客と確認しながら置く
  • 4つの合意を記録し、止まった場所を振り返り、型として共有する。AIは止まっている場所の材料づくり、合意を確かめる対話は人

IntelligentSales の機能は機能ページ、料金は料金・プランをご覧ください。導入のご相談は資料請求・無料デモ相談からどうぞ。

関連記事:営業のヒアリングとは|商談準備のやり方|商談後のネクストアクション|バイヤーズリモースとは

よくある質問

営業のクロージングとは何ですか?
営業のクロージングとは、商談で積み上げてきた合意を顧客と確認し、契約に向けた次の一歩を決める活動です。契約を迫る最後の一押しではなく、課題・価値・決め方・懸念の4つについて顧客と認識がそろっているかを確かめ、そろっていれば次の手続きを一緒に決めます。
クロージングはいつ行えばよいですか?
時期で決めるのではなく、条件がそろったときに行います。顧客が自分の言葉で課題を語り、導入後の価値に納得し、誰がどう決めるかが分かり、懸念が出し切られている状態です。条件がそろっていないのに商談の最後で「いかがでしょうか」と聞くと、「検討します」で止まりやすくなります。
クロージングで「検討します」と言われたら、どうすればよいですか?
「検討します」を断りと決めつけず、何を検討するのかを確かめます。「社内で確認したいのは、どの点でしょうか」と聞き、検討の中身(価格・機能・社内の承認・他社比較など)を特定したうえで、次に誰が何をいつまでに行うかを決めます。期日のない「検討します」は、そのまま止まりやすいです。
値引きを求められたときは、どう対応すればよいですか?
すぐに値引きに応じず、まず値引きを求める理由を確かめます。予算の上限なのか、価値に納得していないのか、社内に説明する材料がほしいのかで対応が変わります。値引きをするなら、契約期間や導入範囲など、何かと引き換えの条件にします。
クロージングの質は、組織でどう上げればよいですか?
商談ごとに「4つの合意がそろっていたか」「どこで止まったか」を記録して振り返り、うまくいった確認の仕方を型として共有します。担当者の勘に頼らず、止まる場所と有効だった働きかけが見えるようになると、組織として再現できます。

執筆・編集

IntelligentSales コラム編集部

プロアクティブセールスAI「IntelligentSales(インテリジェントセールス)」を開発する株式会社DeploAI のコラム編集部です。営業フレームワーク・商談分析・営業組織のAI活用など、営業組織の課題解決に役立つ情報をお届けします。

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