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商談の進め方

PAS(Problem・Agitation・Solution)とは?営業で課題を自分ごと化させる伝え方

公開日: 2026.08.24 執筆: 株式会社DeploAI

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「良い提案をしたのに、“検討します”で止まってしまう」——その原因は、提案の中身ではなく、相手が課題をまだ“自分ごと”として感じていないことかもしれません。ここで役立つのが PAS(パス) です。結論から言うと、PAS とは、Problem(問題)→Agitation(問題の深掘り)→Solution(解決)の順で伝える説得の型で、営業では、いきなり解決策を売り込まず、相手に課題を自分ごととして認識してもらってから提案することで、同じ提案でも刺さり方が変わります。

この記事では、PAS の3ステップの意味、なぜ効くのか、営業での使い方、SaaS 提案での具体例、使うときの注意点を解説します(課題を引き出す質問技法はSPIN話法、解決の価値を伝える型はバリューピラミッド、フレーム全体の地図は営業フレームワーク大全も参照)。

PAS(パス)とは?——3ステップで「解決したい」を引き出す

PAS は、解決策から入るのではなく、問題を明確にし、深掘りしてから解決策を示す伝え方の型です。 3つのステップはそれぞれ次を指します。

ステップ 何をするか ねらい
Problem(問題) 相手が抱える問題を明確にする 「たしかに困っている」と認識させる
Agitation(問題の深掘り) 問題を放置するとどうなるかを具体化する 「解決したい」という気持ちを引き出す
Solution(解決) その問題を解く手段として提案する 提案を“必要なもの”として受け取ってもらう

ポイントは、Solution(解決策)を最後に置くことです。多くの営業は、良い解決策があるほど早く語りたくなります。しかしPASでは、まず問題を相手と共有し、その重さを一緒に確認してから提案する。この順番が、「売り込まれた」ではなく「解決したい問題に、ちょうどよい手段が出てきた」という受け取られ方を生みます。

なぜPASは営業で効くのか?

人は、課題を“自分の問題”として認識していないと、どんなに良い解決策にも動かないからです。 ここがPASの核心です。

いきなり製品の魅力を語られても、相手が「今のままで特に困っていない」と感じていれば、提案は宙に浮きます。逆に、「その問題、放っておくと毎月これだけ損している」と自分の言葉で気づいた相手は、解決策を能動的に求めます。課題認識の高さが、提案の刺さり方を決める——PASは、その課題認識を、提案の前に意図的に高める型です。

これは、影響力の武器でいう動機づけや、チャレンジャーセールスの「顧客に気づきを与える」発想とも重なります。ただ機能を並べるのではなく、相手が動く理由(=解決したい問題)を先に立ち上げる。ここに、PASが営業で効く理由があります。

PASの各ステップをどう使うか

PASを効かせる鍵は、Problem を相手の言葉で掘り起こし、Agitation を“事実にもとづく放置コスト”で語ることです。

  • Problem(問題):こちらが決めつけるのではなく、SPIN話法などの質問で、相手自身に問題を言語化してもらう。「実は月末の集計に丸2日かかっている」と相手が口にした問題ほど、強い出発点になる
  • Agitation(深掘り):その問題を放置すると何が起きるかを、具体的に確認する。「その2日が毎月続くと、担当者の残業と、締めの遅れによる意思決定の遅れにつながっていませんか」——脅しではなく、事実として一緒に見る
  • Solution(解決):ここで初めて解決策を示す。しかも「その2日をなくす手段」として位置づける。解決策の価値の語り方はバリューピラミッドFABを使うと、さらに刺さる

とくに Agitation は、PASの成否を分ける工程です。ここが浅いと「困ってはいるが、まあいいか」で終わり、深すぎて煽りすぎると不信を招きます。事実にもとづいて、相手と一緒に問題の重さを確認する——この誠実さが肝です。

具体例:SaaS提案でPASを使う

抽象的なので、あるSaaS提案を例にします(状況はすべて説明用の仮の例です)。

ある勤怠・工数管理SaaSの営業担当が、情報システム部の担当者に提案する場面です。いきなり機能を説明する場合と、PASで構成した場合を比べます。

ステップ PASで構成した提案(仮の例)
Problem 「今、月末の工数集計は手作業で、毎回2日ほどかかっているとのことでした」
Agitation 「その2日が毎月だと年間で24日分。締めが遅れて、経営が最新の数字を見るのも遅くなっていませんか。担当の方の残業も続いていますよね」
Solution 「この集計を自動化すれば、その2日がほぼゼロになります。締めも早まり、担当の方は分析に時間を使えます」

いきなり「自動集計できます」と機能から入ると、「便利そうだが、今も何とか回っている」で終わりがちです。PASのように、先に問題と放置コストを相手と確認してから解決策を出すと、同じ「自動集計」でも「その2日をなくせる手段」として、能動的に受け取られます。順番を変えるだけで、提案の重みが変わるのです。

PASを使うときの注意点——「煽り」に頼らない

PASの最大の落とし穴は、Agitation を過剰な不安煽りにしてしまうことです。 「今すぐやらないと大変なことになります」といった根拠の薄い脅しは、短期的に相手を焦らせても、信頼を損ないます。

避けるコツは2つです。

  • 事実にもとづく:Agitation は、実際に起きうる損失・機会損失を、相手の状況に即して具体化する。数字や事実の裏づけがないまま煽らない
  • 相手と一緒に確認する:「こうなりますよ」と決めつけるのではなく、「こういう影響、ありませんか?」と問いかけ、相手自身に気づいてもらう。押し付けは逆効果

課題は、こちらが決めつけるより、相手が自分の言葉で語ったほうが強く作用します。だからこそ、PASの前提としてSPIN話法などで事実を丁寧に掴むことが、誠実で効果的なPASにつながります。

IntelligentSales はPASのような伝え方をどう支援するか

「解決策の説明に飛びつかず、相手の課題を引き出し、その重さを共有できているか」は、商談の中で意識しないと崩れやすく、担当者の力量に依存します。製品に自信があるほど、Solution から語りたくなるのは自然な傾向です。

弊社(株式会社 DeploAI)が開発する「IntelligentSales」は、営業フレームワークから抽出・体系化したあるべき営業の理想形(=理想から逆算するバックキャスト)を基準に、6 つの専門 AI(セールスフレーム分析/心理・行動変容分析/競合分析/折衝力学/顧客特性診断/評価アクション)が商談を分析します。とくにセールスフレーム分析 AI が顧客の課題を引き出せているか、解決策の説明に偏っていないかを捉え、心理・行動変容分析 AI が相手の関心の動きを読み取って、次に確かめるべき点を提案します。課題を自分ごと化させてから提案する流れを、組織で再現できる形にするのが狙いです。

まとめ

  • PAS(パス)とは、Problem(問題)→Agitation(問題の深掘り)→Solution(解決)の順で伝える説得の型
  • 効く理由は、人は課題を自分ごととして認識しないと解決策に動かないから。提案の前に課題認識を高める
  • 使い方の肝は、Problem を相手の言葉で掘り起こし、Agitation を事実にもとづく放置コストで語ること。Solution は最後に
  • 最大の注意点は、Agitation を過剰な煽りにしないこと。事実にもとづき、相手と一緒に確認する
  • SPINで課題を引き出し、バリューピラミッドやFABで解決の価値を語ると効果が増す。IntelligentSales の セールスフレーム分析/BCA がその実践を支援する

IntelligentSales の機能の詳細は機能ページを、導入のご相談は資料請求・無料デモ相談からどうぞ。関連記事:SPIN話法とはバリューピラミッドとはチャレンジャーセールスとは営業フレームワーク大全

よくある質問

PAS(パス)とは何ですか?
Problem(問題)→Agitation(問題の深掘り)→Solution(解決)の3ステップで伝える、説得・提案の型です。まず相手の問題を明確にし(Problem)、その問題を放置するとどうなるかを掘り下げて自分ごと化させ(Agitation)、そのうえで解決策を示す(Solution)。いきなり解決策から入るのではなく、課題認識を高めてから提案する順番が特徴です。
なぜPASは営業で効くのですか?
人は、課題を自分の問題として認識していないと、どんなに良い解決策にも動かないからです。いきなり製品を売り込まれても「今のままで困っていない」と感じれば、提案は響きません。PASは、先に問題とその放置コストを相手の言葉で明確にすることで、「解決したい」という気持ちを引き出してから提案します。だから同じ解決策でも受け取られ方が変わります。
PASのAgitation(煽り)は使い方を間違えると逆効果になりませんか?
なります。Agitationは不安を過剰に煽ることではなく、「問題を放置するとどんな損失や機会損失が起きるか」を事実にもとづいて具体的にする工程です。根拠のない脅しや決めつけは、かえって不信を招きます。相手の状況を丁寧に聞いたうえで、実際に起きうる影響を一緒に確認する——この誠実な深掘りが、信頼を保ったままPASを効かせるコツです。
PASはどんな場面で使えますか?
商談の冒頭、提案資料の構成、メールやプレゼンの導入など、相手に「なぜ今これが必要か」を納得してもらいたい場面で使えます。とくに、まだ課題が明確でない相手や、現状維持で問題ないと思っている相手に対して、課題を可視化してから提案するのに向いています。SPIN話法で課題を引き出し、その事実をもとにPASで構成すると効果的です。
IntelligentSalesはPASのような伝え方を支援しますか?
株式会社DeploAIが提供する IntelligentSales は、営業フレームワークから抽出・体系化した「あるべき営業の理想形」から逆算(バックキャスト)して商談を分析するAIエージェントです。6つの専門AIが、商談の中で顧客の課題を引き出せているか、解決策の説明に偏っていないかを捉え、次に確かめるべき点を提案します。課題を自分ごと化させてから提案する流れを、担当者の力量任せにせず組織で再現できる形にします。

執筆・編集

IntelligentSales コラム編集部

営業支援AIエージェント「IntelligentSales(インテリジェントセールス)」を開発する株式会社DeploAI のコラム編集部です。営業フレームワーク・商談分析・営業組織のAI活用など、営業組織の課題解決に役立つ情報をお届けします。

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